『山本美憂にとってのレスリング』山本美憂

レスリングを一番最初に始めたのは小学2年生の時です。最初は、弟(山本KID徳郁氏)がやっていて、私は本当におまけでついて行くといった感じでした。子供同士のレスリングは、じゃれ合いのような遊びに近い感じだったので、見ていて楽しそうだなと思ったのがきっかけです。本格的な格闘技としてのレスリングに飛び込んだ訳ではなかったのです。
とはいえ、父(山本郁栄氏・現日体大教授)が日体大の教員でしたので、小さな頃から自分の周りにはオリンピックの代表の方ばかりがいましたし、実際にミュンヘン五輪に出場した父の姿を見たこともあって、自然とレスリングの魅力にどんどん引き込まれると同時に、スポーツとして自分が世界やオリンピックに出てみたいという意識が芽生えました。
私にとって、レスリングはとても大切な場でした。大会に行くことでさまざまな地方の友達ができたり、団体戦の場合は、チームメイトという仲間ができる。"この大会に行ったらあの子達に会える"というのも楽しかったですし、それと同時に、真面目にひた向きに練習して頑張れば、世界チャンピオンになれるんだという実感が更に楽しさを生んで、良い結果につながっていたのだと思います。
山本美憂さんと女子レスリングの今後について

「レスリングを身近に感じてもらいたい」。アテネ五輪で女子代表選手が頑張りましたので、レスリングの魅力がだいぶ一般の方々に知られるようにはなってきました。ただ、野球、サッカーに比べれば、レスリングはまだまだ認知度が低いスポーツです。理由として、ルールがしっかりと広まっていないことや、試合の数が少ないといったことが挙げられ、なかなか入り込みづらいと思います。その辺りの部分を補えるよう、私は、レスリングの楽しさを伝えて、もっともっと身近に感じてもらえるようにしたいです。
現在のレスリング界は、幼稚園や小学校からレスリングを続けてきた子供たちが育ってきています。将来、今のトップ選手たちの時代が終わったとしても、日本の女子レスリング界が低迷することはないと思うくらい、層は厚くなってきています。また、小さい頃からいろいろな経験をさせるという点で言えば、日本の環境は世界の一歩先をいっているんじゃないでしょうか。海外では、中学生くらいになって初めてレスリングを経験する選手が多いように思いますが、日本では、中学生年代の選手に海外の遠征を経験させたり、少年少女の大会をたくさん開催したり、業界をあげて環境作りを進めています。その環境の中で、アテネでの良い成績を今後も維持し続けて欲しいと思います。そのためには、勝ち続けるしか方法はないでしょう。簡単なことではないですし、選手にしてみれば過酷なことですけれど、オリンピックで好成績を残した以上、他の国からのマークが一層厳しくなることは間違いありません。それを跳ね除けて、黄金時代を築いて欲しい。
今後の指導面でいうと、勝ち負けの為に、小さい頃からの詰め込むだけの指導ではなく、子供たちときちんと話をして、夢を持たせてあげて、その上で、試合などを通じて選手としての自覚が芽生える、そしてやがてオリンピック選手を目指すようになる。という子どもたちの意識を段階的に変えていくような指導をしていきたいと考えていますし、それが最大の理想です。私自身、父が国際大会に参加したときの話を聞いたり、おみやげをもらったりして、「いいな、私もいろいろなところに行きたいな」って思いました。また、オリンピック前の練習を見に行って、父が一生懸命指導する姿や、一生懸命練習する選手の姿をみて刺激を受けたということもあります。それがきっかけでレスリングが好きになったし、夢を持つことができました。
私自身は、現在スポーツコメンテーターとして、他の競技の選手と触れ合う機会も増え、話を聞き、いい意味での刺激を受けています。選手時代と、これから積んでいく経験を踏まえて、レスリングの普及、楽しんでスポーツを続けることの素晴らしさを伝えていければと思っています。
山本美憂(やまもとみゆう)
父・山本郁栄氏(ミュンヘン五輪出場・現日体大教授)の影響もあり、小学生の頃からレスリングを始め、史上最年少(17歳)で世界選手権を制した。強さと美しさを兼ね備えた選手として女子レスリング界の第一人者となる。結婚して一児の母となり、現役選手を引退していたが、女子レスリングが2004年アテネ五輪で初めて正式種目となることが決まり、五輪挑戦の夢を捨てきれず現役復帰を決意。妹の聖子(ジャパンビバレッジ)と共にオリンピック出場へ向け、2002年の天皇杯で3度目となる現役復帰を果たす。
2004年2月に行われたオリンピック代表選手選考試合であるジャパンクイーンカップで惜しくも3位となり、残念ながらアテネ五輪の出場権の夢を逃した。 現在でも女子レスリング界のパイオニアとして、多くのファンや後輩から支持されている。
山本さんのHP http://www.players-site.com/yamamoto/
スポーツをキャスティングするCaSpo http://www.caspo.jp/
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