『世界最高峰エベレストも夢ではない』栗城 史多
僕が惚れた「山」の魅力
登山を始めて5年目になります。北海道の私立大学に入学後、山岳部に入り、気がつくと海外の7大陸の最高峰に挑戦し、今までに5大陸の最高峰と8,000峰のチョ・オユーを単独無酸素で登ってきました。
そして、今年は12月に南極の最高峰ビンソンマシフと来年の春にはエベレストに挑戦します。

本当に不思議な人生です。今は最高峰に単独で挑む若きアルピニストになっていますが、昔から登山に興味があったわけではありません。登山を始めたきっかけは当時好きだった山好きな彼女にフラれ、僕も山に登ってやろう!という思いから始まりました。
最初の頃はハイキング程度だったのですが、冬山2回目で厳冬期の北海道の山々を縦走するとう当時の僕にとっては絶対に無理だと思える冒険を行いました。縦走した距離は60キロにもなり、10日間かかったのですが、半分は遭難していたような気がします。
しかし、なにか自分の中にある殻を破ったというか自分の中にこんな力があったのかという感動を覚え、その後山の魅力に取り付かれていくのでした。
山と対話し、「感じる」ということ
学生にとって山岳青春の集大成が海外登山でした。日本の山は一番高くて富士山の3,750mですが、海外には7,000m級のヒマラヤ山脈や南米のアンデス山脈など日本では考えられない高峰が沢山あるのです。そして、僕は偉大な冒険家の植村直己さんが亡くなった北米大陸最高峰マッキンリー(6,194m)を単独で挑戦することにしたのです。語学もわからず、現地に入り、高山病や極寒の寒さの中、小さなテントを担ぎ、約2週間かけて登り、無事に登頂したのです。
初めて「地球」というものを全身で感じた瞬間でした。

その後、世界の山々に挑戦しているのですが、僕がこだわっているのは単独登山です。理由は単純で山を感じてみたいという思いからです。山は人間と同じように波長というものがあります。ご機嫌が良い時と悪い時があるのです。僕は山との対話といっているのですが、一人でいるとその山のご機嫌が少しわかってくるのです。そして、山のご機嫌が良い時と自分の体調が良い時に登ることができるのです。
山登りにおいて大切なのは「感じる」という力です。どんなに体力があってもどんなに技術があっても山に登らせてもらわなければ登れないというのを山から教わりました。僕の体自体も一般のアスリートに比べれば素人みたいな身体です。それでも山に登れるのは力ではなく、そのような感じる力で登っているからです。
今の僕の挑戦に、乞うご期待!
僕は単独無酸素でエベレストに挑戦しようとしています。無酸素は本当に厳しいものです。人間が登れる限界の高度が7,500mと言われているのですが、そこから先はデットゾーンと呼ばれ、酸素がないと生きていけない高度になるのです。意外に知られていなのですが、超高所では酸素が薄いから危険なのではなく、気圧が非常に低く、体の水分が抜け脱水症状になるのです。8,000mに行って帰ってくると本当に筋肉や脂肪についている水分が抜け、体重が一気に下がります。真似してみようかなという人がいたとしても、世界で一番危険なダイエットなのでお勧めしません。

僕は、そこを無酸素で挑戦するため、肉やお酒を絶ち、玄米を主食とする食事制限や低酸素トレーニングなどに励んでおります。そんな過激と思われる挑戦をしておりますが、頭の中で、できるからやる、できないからやらないと決めるのでなく、全身で試練に立ち向かい、そしてその壁を乗り越え、新しい発見をしてみたいのです。僕は来年、日本人ではだれも達成できなかった単独無酸素登頂を目指します。
栗城 史多 (くりき のぶかず)
ソロアルピニスト
大学1年生から登山を始める、北アメリカ大陸最高峰マッキンリーの単独登頂を成功させた後、南アメリカのアコンカグア、ヨーロッパのエルブルース、アフリカのキリマンジャロを次々登頂。2006年1月には南極の最高峰ビンソンマシフに挑戦するもタイムリミットで断念。その10月にはオセアニア最高峰カルステンツピラミットの登頂も成功した。
残す大陸は、アジアのエベレストと南極のビンソンマシフ。単独で世界7大陸登頂成功者はいまだに存在せず、史上初めての快挙を目指している。
スポーツをキャスティングするCaSpo http://www.caspo.jp/
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2007年01月24日

