快適リフォーム術と悪徳リフォームの実態

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構造計算偽造問題について

2006.1. 4

新年あけましておめでとうございます。

さて、昨年建設業界で大きな問題となった構造計算偽造による耐震強度不足の建物が確認されました。震度5強で倒壊の恐れのある建物や、建物の自重により倒壊するかもしれない建物が建築基準法上合法な建物として確認申請が下り、竣工し、販売されました。
ただでさえ地震の多い日本で、まだ記憶に新しい1995年の阪神・淡路大震災を知っている構造設計者がなぜこのような人命に関わる重大な偽造を行ったのか理解に苦しみます。

建物を設計する上でその根本となる構造計算を偽造し、それに基づき図面を作成し、偽造を見抜けず検査機関も確認申請を下ろしてしまったのでは、どこも信用できないと言われても仕方がありません。

建築基準法の耐震基準は、昭和56年(1981年)6月から新耐震基準として法改正され適用されており、震度5強の地震に対してはほとんど損傷を生じず、震度6~7程度の地震に対しても、倒壊等の被害を生じないように定められました。
耐震設計が基準以上かどうかチェックする指標の1つが保有水平耐力であります。

例:保有水平耐力判定表
構造形式 Qnd[kN] Ds値 Fes値 Qun「kN」 Qu「kN」 Qu/Qun 判定
N ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・
5 RC造 3882 0.300 1.000 1165 1581 1.357 OK
4 RC造 6896 0.300 1.000 2069 2810 1.358 OK
3 RC造 9354 0.350 1.016 3326 3811 1.145 OK
2 RC造 11380 0.350 1.135 4521 4637 1.025 OK
1 RC造 13132 0.300 1.076 4239 5352 1.262 OK

現行の耐震基準では、上記の表のQu/Qunが「1.00」以上であることが必要です。
この基準を基に地方公共団体(特定行政庁)が建築物の使用制限(退去勧告)等の命令を行う危険度の目安として、上記基準の「1.00」に対して「0.5」以下の建物(震度5強で倒壊の恐れがあると考えられている)となっております。
Qu(保有水平耐力)とは、建物に横からかかる力に耐える強さ(梁や柱が壊れ、それ以上建物を支えることができない状態になった時の力)を示し、Qun(必要保有水平耐力)とは、その建物が震度6程度の地震で倒れないために必要な力を示します。

このように、構造設計時にQu/Qunが「1.00」以上となるよう柱・梁等の断面積を決定し、倒壊しないよう設計します。
コンクリートは圧縮に強く、引っ張りに弱いので地震により引っ張られると変形し折れてしまいますので、この弱さを補う引っ張りに強い鉄筋を大幅に削減すると言うことは、建物の地震に対する粘りがなくなり、倒壊する可能性が上がるということです。

その他、構造計算書に大臣認定番号等が印字されていないので偽造であるとの報道がありますが、この印字があれば通常の構造計算書より大幅に図書の省略をすることができる(建築基準法・施工規則第3条の1)となっているだけで、建物の形状、特殊条件、構造計算ソフトの適用範囲等により印字されない場合がありますので、印字がないので即偽造だということではありません。
このように建物の耐震性を的確に早く判断するには構造設計の専門家に相談することが一番ですが、この時必要な書類が構造計算書、確認申請図書(副本)、竣工図等ですので現在の保管場所を確認し、これからも大切に保管しなければなりません。(上記書類はリフォーム、コンバージョン等にも必要になってきます)

この問題により建築基準法等、改正がされると思いますが、建設業界としてもこのような信用の失墜を早く取り戻し、安心して任せられる建物を供給していけるよう一級建築士としての立場上、日々努力していきたいと思います。

門井 博(かどい ひろし)

門井 博(かどい ひろし)

一級建築士
お客様の笑顔が見れる建物づくりを目指しています。
http://www.sbi-planners.co.jp/

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