田舎暮らしをはじめよう

本当に田舎に暮らすには、どうしたらいいの?

58歳で退職し60歳から福島県二本松市で新規就農

2007.2.20

レポート60歳から農業を始めるために準備をし、いまでは30品目の野菜栽培に挑戦中。安全・安心の農業を推進するとともに、社会的責任についても問いつづけたい。

奥山 猛さん 62歳
私は東京世田谷から、ここ二本松市(旧安達郡東和町)に移り住んで、2年半をすごしました。
水と空気のきれいなところで農業を営んでいます。


58歳で自動車関連業界の会社を退職しましたが、体力のあるうちに準備をし、60歳には農業を姶めようと定年の2年前を選択しました。もともと体力には自信があり、50歳を超える頃から、八掛け人生を心掛けていましたが、農業を意識したのは、50歳頃から始めた自宅での家庭菜園と51歳で始めた山登りが大きな要因と言えるでしょう。家庭菜園では、物足りなさがあり、堆肥の投入による土づくりとか安心・安全の野菜づくりをやってみたいとの思いが膨らみました。


山登りでは、深田久弥さんの百名山の50峰を目標にし、関東近辺を中心に34座まで登りましたが、最近の2年間は休みの状態です。今後とも百名山だけでなく、東北の山歩きをライフワークにする予定です。山歩きを通して自然に触れたことで、自然の豊かなところでの生活を意識しましたネ。

もともと福島の自然が体に浸み込んでいて、日頃「東京は仕事をするところであっても、生活するところでは無い」と考えていました。55歳の頃には、定年後の農業を本格的に意識していたように思います。

退職の年(平成14年)の3月、新規就農者を対象とする「ニューファーマーズフェアー・新規就農相談会」で、当初群馬県が第一候補でしたが、7月頃には不調となり第二候補の福島県となった次第です。

この年5月には、長野県の八ヶ岳中央農業実践大学校の1週間コースに入校し、農業の基本を受講して、当初は農業法人での就農も視野に入れていましたが、年齢が課題であることも徐々に判ってきていました。


8月の後半、福島県農業会議の紹介で大野さん宅を紹介いただき、9月から11月の初旬まで泊まり込みの実務研修をさせていただきました。農業での生活は全くの零スタートで、体力はもつのか等不安がありましたが、大野さんのご好意により農家の生活をなんとかこなせたように思っています。

レポートこちらでの生活は、早朝作業、朝食、午前作業、昼食その後の休憩(昼寝)、午後の作業と続きます。キュウリの収穫は、朝と夕方毎日で雨が降っても出掛けます。

また、トラクターや草刈機の操作から、インゲンの種まき、支柱たて、ネット張り等を一人で実践させて貰ったのも大きな収穫でした。

翌平成15年には、長野県のレタス農家の好意で研修に入りましたが、腰と膝を痛め1ヶ月で帰宅することになってしまい、体力には自信ありの筈が、少々ガックリでした。  

1ヶ月の休養後、再度大野さんに連絡し2回目の研修をお願いしましたが、この時は、東和で家と畑を捜すこともお願いしました。


レポート7月に研修が始まリ、家探しが始まると同時に手頃な物件の情報が役場の担当からあり、検討の末、9月には現在住んでいる家に移転しました(単身)。畑探しも、町の農政課が斡旋してくれて、10月には約2反強の農地を借りることができて、11月には貸主の重機の借用と義兄の応援で荒れた農地の整理を済ませ準備完了となりました。順調な立ち上がりとなり、皆さんに感謝感謝です。

費用面では、畑の賃借料は、10a当たり1方円/年がこの地域の相場の様です。生活費は月額平均で7万円位。

家は一般家屋の為、納屋とか物置がありませんので、中古のパイプハウスを自力で立て物置兼用で使用しています(この時も宮城県に住む義兄の応援あり)。家屋は破格のお値段で譲っていただきました。


レポート初年度には、トラクター、草刈機、農薬散布機(唯一の新品)、小型耕耘機、上記ハウス資材とキュウリ・インゲン用資材(鉄パイプ)等の設備で250万円(家屋含む)位です。生活面では、初めての田舎ぐらしで正月と冬場は少々戸惑いもありましたが、地域の皆さんとの交流を積極的に深めました(特に飲み会や新年会)。

また、NPO法人の前身「つどいあい」で始めた他店舗販売(コラッセ)での取り組みは、農産物生産者との接触があり、栽培情報の入手や顔を覚えてもらうのに良い機会となりました。

2年目の4月までは、地域の方のアルバイト紹介があったりして、3月には何かと忙しかったことが思い出されます。

この年の3月には格安のトラクターも入手し、いよいよ栽培初年度の始まりです。何を、いつ、どこで、どの位やるのか、1月の暇な時期に1年間の栽培計画をじっくり立て、実行します。会社だけでなくP・D・Cサイクルはここでも生きてきます。


私の栽培主要品目は、キュウリとインゲンですが、1年目2年目とも初心者としては、まずまずの結果と自己満足しています。JA等への出荷及び道の駅への出荷で、2年目の売り上げは約90万円というところです。3年目は栽培数量を増やして、120万円以上を目標にしていますが、豊作時には単価が下がり、台風では傷の発生で売り物にならない等、正に農業は「自然の恵み」を実感しています。

これ以外に自家消費も含め、30品目の野菜を栽培し土と自分に合った品目を検討中です。また、自宅や娘の家に出来た野菜を送ってますが、安心・安全・新鮮・うまい野菜が届くので子供のいる娘からは大好評です。

収穫量を増やす為に数量を増やせば売り上げは上がりますが、無理をせず一人で出来る範囲でじっくりやっていくことが当面の目標です。

農業の最大のメリットは、マイペースで仕事が出来ることですが、計画をしっかり立てることが重要です。収入面のカバーは、厚生年金の受給を早めて開始しています。

ここまで順調にやってこれたのは、泊まり込みで農業体験をさせてもらったこと、地域の人達との交流を大事にしてきたこと、体力に恵まれ気力が充実していたことと思っています。また、やりたいことをやらせてくれた妻・家族にも少なからず感謝しています。


レポートこれからも、体調に合わせ健康第一をモットーに70歳過ぎても農業を続けたいものです。今後の課題としては、東和地区の農業を活性化し、農業生産性の向上を図りたい。首都圏在住者に当地に来てもらい、私自身の後継者の育成も図りたいと思っています。


また、安全・安心の農業を推進し、農業の果たす役割とか社会的責任についてもNPO法人「ゆうきの里・東和」ふるさとづくり協議会の活動を通じて発信したいと考えています。


ふるさと回帰支援センター


http://www.furusatokaiki.net/


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