棚田と歴史の里で有機農業を学ぼう!
長崎有機農業研究会のみなさんと一緒に、有機農業を体験する2泊3日のツアー。驚きと発見がたくさん詰まった「南島原ふるさと塾」のレポートをお届けしよう。
有機野菜は人々の努力と苦労の賜物
長崎県島原半島といえば、島原の乱の舞台となった地域として有名だが、その豊かな自然条件を生かした有機農業先進地域として、ジャガイモ、タマネギ、メロン、イチゴなどの生産に力を入れている。
今回はじめて、長崎有機農業研究会(以下、長有研)が有機野菜の宅配を行う「大地を守る会」との共催で、農業のお手伝いをしながら互いの交流をはかることを目的とした2泊3日のツアーを企画したところ、20代から60代まで幅広い年齢層の参加者が集まった。
1日目は台風の影響もあり、長崎はあいにくの空模様。しかし空港からマイクロバスで島原半島に移動するうち、次第に雨もあがってきた。移動の途中、六兵衛(ろくべえ)という郷土料理をいただく。紫芋をすりつぶしてできたむらさき色の麺で、プリプリした食感が楽しい。
空港から約1時間半ほどで南島原にある長有研の事務所に到着。簡単なオリエンテーションの後、当初の予定では農作業に取りかかるはずだったが、この日まで約2週間降り続いていた雨のせいですぐには畑に入れないという。そこで急遽、南島原散策に予定が変更された。
まずは、開発に4~5年かかったという有機質肥料(ボカシ肥料)を見せてもらう。魚粉や菜種粕、ヤシ灰などを材料に発酵熟成させた肥料で化学的な成分は一切入っていない。ジャガイモやタマネギを始め、現在長有研でつくられている作物のほとんどにこのボカシ肥料が使われており、作物の根を健康的に張らせ、糖度、食味を著しく高めるという。
棚田、セミナリヨ跡、日野江城跡など、南島原の名所を見学し、宿舎で長有研のみなさんと一緒に夕食。その後約2時間にわたって、長有研の有機農業入門(座学)が行われた。農薬や化学肥料を使わない農業の大変さと、農業が環境に与える影響などについて、発起人である松藤さんと会長の近藤さんが語ってくれた。
「有機野菜をつくりたい一心で農薬を一切捨てる方法に変えたら、作物がうまく育たず、金欠になって倒産寸前までいきました。事業が軌道に乗るまでは本当に辛い日々でしたが、有機野菜をつくることをやめたら自分たちには何も残らない。農薬を使わずに育った野菜は、自分の力で虫や病気をはねのけてできています。人間も野菜も同じです。人間にとって、病気に打ち勝つ細胞をつくりだすのは食の力だし、野菜が育つのは土の力だということをずっと考えながらやってきました」23年間、有機農業にこだわり続けてきた松藤さんたちの熱意に胸を打たれた。参加者からも活発な意見が飛び交し、非常に中身の濃い勉強会となった。
有機栽培の土には生き物がたくさん!
2日目は、朝から2人ずつ各農家に分かれ農作業のお手伝い。畑に入り、タマネギの収穫にはじめて挑戦した。作業をしていると、土の中から大きなムカデが飛び出してきて、そのたびに悲鳴をあげてしまう。長靴を履いていないと、ズボンの裾から這い上がってきて噛まれることもあるらしい。それにしても驚いたのは、ダンゴ虫やアリ、青虫など、本当にたくさんの生き物が土の中に住んでいるということ。これは、農薬が撒かれていない健康な土である何よりの証拠だ。青空の下、すぐ近くの林の中から聞こえるウグイスの「ホーホケキョウ」をBGMに黙々と作業を続ける。
昼食は農家で、採れたての野菜や魚を使ったおいしい家庭料理をいただいた。海も山もある恵まれた地域ならではのメニューが食卓を彩る。
午後は農家の納屋で出荷用タマネギの箱詰め作業。タマネギを一つひとつ磨き上げ、基準に達した大きさのものだけをダンボールに詰めていく。収穫のピーク時には、朝は6時から畑に入り、深夜まで箱詰め作業を行うこともあるらしい。これを2~3人という少人数で行うのだから、さぞかし大変だろう。南島原もだんだん後継者が減り、荒地が増えているそうだ。
「将来的には農家人口が増えて農作物の生産も安定し、しっかり生計が成り立つような形にしたい。そのためにも農業を志望する都会の人にどんどん来てほしいですね」と、近藤さんも話していた。
夕方、島原湾が目の前に広がる原城温泉で作業の疲れをとった後、地元の企業や役所の方々も加わって交流会がにぎやかに行われた。
南島原の歴史にふれる
最終日は早朝から、地元歴史家の方々の案内で島原の乱の最後の舞台となった原城跡地を散策した。ここはかつて約3万7000人の一揆軍が立て籠もり、幕府軍に殺された場所で、現在も一部だが城壁や大手門跡などが残っている。参加者たちは、かつて行われた壮絶な戦いに思いを馳せた。
朝食後は昨日に引き続き、各農家に分かれて農作業。タマネギの根と葉を一つひとつハサミで切っていく。このような地道な作業を経て初めて出荷準備ができるのだ。
昼は長有研の事務所に移動し、地元のおかあさんたちがつくってくれた有機野菜の料理を囲み、お世話になった農家のみなさんと楽しいひとときを過ごした。
長有研のみなさんの有機農業にかける情熱と、南島原の魅力が十分にわかった3日間だった。有機農業に少しでも興味のある人は一度訪れてみてほしい。ここで暮らす人々と恵まれた自然に魅了されること間違いなしだ。

- 有機栽培の野菜は、スーパーで売られている野菜とどこが違うの?
- 一般的にスーパーで売られているような化学肥料を使った野菜は窒素の吸収が先行し、茎葉が大きく軟弱に育ちます。このような野菜は病害虫が発生しやすく農薬を使わなければいけません。一方、有機栽培で育った野菜はゆっくりと生育するため、茎葉も小ぶりですが細胞がきっちりと揃っていて葉に厚みがあります。葉脈も左右対称で美しく、病害虫にも強くなるのです。
【information】第2回「南島原ふるさと塾」開催!
この地で有機農業を営んできた長崎有機農業研究会のメンバーが、今年もみなさんをお待ちしております。
じゃがいも、玉ねぎ、トマト、メロンなどの作業でいそがしい農家のお手伝いに!
詳しくは、コチラ→
- 58歳で退職し60歳から福島県二本松市で新規就農
2007年02月20日 - 棚田と歴史の里で有機農業を学ぼう!
2007年01月16日 - 田舎ってこんなもんだよ!「飯山まなび塾」秋講座レポート
2006年12月19日 - 「100万人のふるさと回帰運動」と「ふるさと回帰フェア2006」
2006年11月01日



長有研の野菜はときどきいただいているので、親戚の便りのようでした。
投稿者 obaba 2007年01月23日 18:39お手伝いに行って、おいしい野菜と空気をゲットしたい!