食と健康

食の生産現場に焦点を当てながら、食育に役立つ情報を提供します。

「有機栽培」と「無農薬栽培」の違いがわかりますか?

2007.11.20

農業と食の安全についての話題になると、「有機と無農薬はどう違うのか?」「オーガニックの定義は?」という質問をよく受けます。確かにちょっとわかりづらいので、整理してみたいと思います。

JAS法では、「有機農産物」のほかに「特別栽培農産物」が規定されており、その中に「無農薬」とか「減農薬」という分類がなされています。

「有機農産物(オーガニック)」とは

・種まきまたは植え付け前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用していない田畑で栽培する。
・栽培期間中も禁止された農薬、化学肥料は使用しない。
・遺伝子組換え技術を使用しない。

農水省ホームページ『有機食品の検査認証制度』より

http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/new_jas/organic.html

この有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、その結果、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。 jasこの「有機JASマーク」がない農産物や農産物加工食品に、「有機」、「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁じられています。

「特別栽培農産物」の定義
平成16年度の法改正により、無農薬・減農薬・減化学肥料という呼び方を止め、「特別栽培農産物」という呼称に一本化されました
無農薬栽培農産物 農薬を使わずに栽培された農産物。(化学肥料を使っている可能性はあります)
無化学肥料農産物 化学肥料を使わずに栽培された農産物。(農薬を使っている可能性はあります)
減農薬栽培農産物 農薬の使用回数が該当地域で使用されている回数のおおむね5割以下で栽培された農産物。
減化学肥料農産物 化学肥料の使用回数が該当地域で使用されている回数のおおむね5割以下で栽培された農産物。

一時期、店頭には「オーガニック野菜」「有機野菜」「自然栽培」「天然農産物」といった、実態がよくわからない表示がたくさん並んでいました。共通の基準がなく、責任の所在がわからない状態でした。このままでは品質や安全性を確認することが難しく消費者の利益が守れないという判断から、安全の指標として有機JAS法が定められたという経緯があります。

有機JASの認定基準は非常に厳密で、すべての農産物や栽培方法に全国一律の基準をあてはめることには無理もあります。認定を受けられない例として下記のような事例が挙げられます。

・水源にしている河川の上流に民家があり、生活排水を農業用水に使っているとされる場合。
・近所に農薬散布をしている田畑があるために、農薬飛散の可能性があると考えられる場合。
・多品種少量生産の生産者の場合。(認定は1品目ごとに申請・登録が必要で、費用がかかりすぎる)

これを見ると、有機JAS認定を受けるには、単一作物を生産し、近くに田畑や民家のない山奥か無人島でないと無理・・・とさえ思えてきますね。実際、有機JAS認定を受けるために、生産者は大変な努力をしておられます。しかし消費者は消費者で、ちょっと立ち止まって考えたいのです。

イメージそもそも農業の目的とはなんでしょうか? 有機JAS認定を受けること?それとも農薬を使わないことでしょうか?どちらも農業の本質ではありません。「農業」とは作物生産であり、目的は、良い作物をたくさん作ることです。「作物をつくる仕事」をする中で、良い作物をたくさん作るために土づくりをしたら健康で豊かな土壌になり、『結果的に農薬を必要としなかった』ということなのです。

人間にたとえると、『適度な運動と規則正しい生活、バランスの取れた食事と適正な睡眠を心がけた結果、この冬は風邪をひかなかったので風邪薬を飲みませんでした』というのと同じことです。

国の基準はあくまでも消費者が損害を被らないためのもの。生産者の方々には、安全で栄養たっぷりの美味しい作物を生産していただきたいと思います。


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木本直實(きもと・なおみ)

【村長プロフィール】 木本直實(きもと・なおみ)

1964年 神戸生まれ。関西大学卒業後、サントリー株式会社で13年間勤務。
2000年 大分県内に移住し、極限環境微生物を使った環境コンサルタントに転身。
2004年 農業生産者たちとのネットワークを活かし、ネットショップ『じんわり村』設立。
2006年 SBIホールディングス(株)『生活ガイド.com』にて「食と健康」コラム連載開始。 こだわり食材専門の業務用販売を開始。湯布院の一流旅館や料亭と取引開始。
2007年 無農薬・有機野菜の栽培開始。(契約農家に栽培方法を指導)農業資材販売開始。(財)大分県産業創造機構刊『創造おおいた』にて「じんわり村から」コラム連載中。

【じんわり村】 http://jinwari.jp/

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コメント

私は、横須賀周辺で農業をしています。

有機農産物、無農薬農産物は、誤解と欺瞞が満ちているところだと思います。

これらの農産物は、消費者にとっては、総ての農薬を一切使用していない栽培をされていると信じていることでしょう。

もちろんそうした方針で、栽培している生産者もたくさんいるのは事実でしょう

しかし認定基準は、海外も含めに、化学合成農薬を使っていけないとされているのです。

したがって、天然物質の農薬、生物農薬、微生物農薬、性フェロモン剤などは、使用して栽培して有機農産物に問題なく認証されるはずです。

これら物を農薬とするかですが、実際それらが農薬として登録が行われたりしているので、農薬とするのがあたりまえと考えます。

したがって、認定されている有機農産物、無農薬農産物は、認定基準で禁止されていない農薬を使用している農産物と考えるのが妥当ななところだと思います。

安全な、農産物を求めるのは、当然です。 
有機農産物か、農薬を使っているかにかかわらず、科学的に安全な生産物を供給、消費するという観点で物事が考え、進められること一番いいのかなと思います。


ちなみに、私たちの地域では春キャベツを生産している地域です。
この地域で害虫がものすごい勢いで増える気候の時期は暑すぎず、寒くもない5、6月、9、10月になります。
寒さや、物理的なダメージから病気が進入して作物が病気になることもありますが、高温多湿だと作物の病気は増えますし対策が必要です。
10月~11月にかけて播種し11月から2月にかけて定植し3月から4月に(主に4月)収穫するスタイルです。

つまり、害虫の多く出る時期、高温多湿の時期を避けて栽培してます。
現状この地域では、農薬を使わずに栽培していくと特に気を使っていない栽培者がほとんどです。
しかし、結果として栽培期間中全く農薬を使わずに春キャベツを栽培してる農家は半数を上回っていると思います。
(地域からは、多いときで1日10万ケースを上回る出荷量が有ります。)
もちろんこれらは、有機農産物では、有りません。無農薬栽培では有りません。認証もとることが出来ません。(同じ畑で違う季節に栽培する作物に農薬が使われている為)

土作り、適地適期栽培、安全に心がけ、結果として、無農薬や、有機栽培となるのが一番だと思いますし、そうなるように努力したいと思います。


投稿者 somwang 2007年12月29日 12:49

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