食と健康

食の生産現場に焦点を当てながら、食育に役立つ情報を提供します。

土づくりと無農薬農業

2007.8.20

イメージ じんわり村の野口さんご夫妻は、20年ほど前まではタバコの生産者でした。タバコの葉は日本たばこ産業(JT)の専売特許ですから、契約栽培です。つまり、栽培した全量をJTが買い上げるよう法律で定められていますので、価格相場に悩まされることが多い農家にとってはありがたい作物といえます。

しかし、問題もあります。ご存知のようにタバコには毒性があります。私もタバコ畑に入って収穫作業を少し手伝ったことがありますが、葉(特に新芽)には強いニコチン臭があり、しばらく畑にいるだけで目が痛くなり、頭もガンガンして吐き気がしてきます。健康に良くないことは明らかです。

そして、タバコの栽培には農薬が欠かせません。そもそもタバコ自身が強い毒性を持っているので、そこにやってくる病原菌や害虫を排除するには、さらに強い農薬が必要なのです。


野口さんは熱心に栽培管理して、近隣でも群を抜く収穫高を誇っていました。けれども、家に帰って靴を脱ぐと、足が農薬でただれて湿疹だらけでした。内臓にも変調を来たし始めたことに危機感を持った野口さんは、タバコ栽培と農薬から手を引くことを決心し、人参の無農薬栽培を始めたのでした。
当時の農村では、近代農法がもてはやされ、化学肥料や除草剤を多用するのが普通でしたので、馬糞を発酵させて堆肥を作ったり、除草剤を使わず畑にはいつくばって雑草を取る野口さんを、近所の人たちは「除草剤という便利なものがあるのになぜ使わないのか?変わり者だなあ」と笑いました。


=それから15年以上が経ちますが、野口さんの農業に対する姿勢は今もまったく変わりません。馬糞や米ぬかなどで堆肥を作り、畑にたっぷり入れます。高温発酵微生物資材(※1)をたっぷり使って、土壌微生物が増えるように土づくりをします。もちろん、農薬も化学肥料も除草剤も一切使いません。
野口さんが作った人参は見るからに生命力にあふれています。立派で美しく、味が良く、1ヶ月経っても見た目も味もほとんど変わりません。(抗酸化成分が豊富なので鮮度保持力があるのです)また、甘みがあり、糖度が18度まで上がることも珍しくないのは、土壌が豊かで、根が養分をたっぷりと吸い上げているからです。小さな子どもはおやつに生でぽりぽり食べますし、煮るととろけるように柔らかく、ジュースにすると本当に甘い。とにかく体が喜ぶのがわかります。


=そんな安全で美味しい野口さんの人参は大変な人気で、全国から業者が買い付けにやってきます。高級旅館やレストラン、病後で食生活に気を遣う人たちからも引っぱりだこで、毎年、種まきをする前から予約ですべて完売しています。皆から喜ばれ認められ、農業が楽しくて仕方がないという顔で、いつもニコニコしています。

「草とりは腰が痛くて大変だけど、人が喜んでくれるので張り合いがある、農業が楽しくて止められない」のだそうです。そして、知り合いの農家の人がこう言うそうです。
「今思うと、野口さんのやり方は賢かった。土がすっかり弱ってしまった自分たちには今さら真似はできないし、真似しても追いつけない」

=野口さんが安全で美味しい人参を作ってくれることで、たくさんの人が恩恵を受けています。野口さんは皆から喜ばれて幸せですが、野口さんの人参を食べる人もまた幸せです。野口さんのような生産者を増やすことが、じんわり村のミッションだと私は思っています。

(※1)野口さんが15年以上使い続けている高温発酵微生物資材(じんわりバイオ http://jinwari.jp/bio/)を販売させていただくことになりました。無農薬農業についてのアドバイスも行っていますので、興味のある方はじんわり村までご連絡ください。



木本直實(きもと・なおみ)

木本直實(きもと・なおみ)

大手洋酒ビールメーカーに13年勤務。
その間、結婚→阪神大震災→出産→離婚を経験。
2000年、神戸から大分県内にある半農半漁の町に移住。
農家や食品の生産者との交流がはじまる。
2003年、「安全で美味しい食べ物」をテーマにブログを書き始める。
2005年、自然派食品ネットショップ『じんわり村』開設。
日々雑感を「じんわり起業きらくに日記」にて発信中。
趣味は読書(濫読)と株式投資。
原料と作りかたにこだわった安心で美味しい自然派食品
じんわり村:http://www.jinwari.jp/
じんわり起業きらくに日記:http://kirakuni.bakeinu.jp/

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