いちごの“旬”はいつ?
どんな食べものにも“旬”があります。日本の四季は、それぞれの季節にふさわしい、美味しい食べ物を私たちに授けてくれます。また、旬の食べものは、栄養価も高く、無理なく育つので病気にかかりにくい(=農薬が少なくて済む)上に、その季節にふさわしい体調調節機能を備えていることが多いのです。
寒い季節には根菜類がからだを温めてくれますし、暑い夏には、ナスやきゅうりが体の熱を取ってくれます。春に芽吹く筍やふきのとう、たらの芽、蕨(わらび)、薇(ぜんまい)などの山菜にある独特の苦味には、抗酸化成分や新陳代謝を促進する成分が含まれており、冬の間に溜まった体内の老廃物を解毒してくれると言われています。一説によると、冬眠から目覚めた動物も、その苦味で朦朧とした頭がしっかり醒めるのだとか。
ところが最近では、輸入農産物が増えたことと、ハウス栽培や水耕栽培の発達により、年中食べられるものが多くなってきました。おかげで食生活が豊かになった半面、“旬”に触れる機会が減ることにもなりました。
ほかにも、私たちの食生活にあまりにも密接に入り込んでしまった旬でない食べものもあります。たとえば『いちご』はどうでしょうか。
本来いちごは、4~5月が旬の作物です。しかし現在では、12月~4月頃が『いちご』の出盛り期(旬)となりました。『いちご』はレモン以上にビタミンCが豊富です。また、整腸作用、高血圧予防に有効なカリウム、キシリトールやミネラルなどをバランス良く含んだ栄養価の高い食品です。
ところが、最近の『いちご』はハウス栽培が大半であり、露地栽培はあまり見かけません。うどんこ病やたんそ病にかかりやすいデリケートな作物なので、土壌消毒※や農薬が欠かせないとされています。農薬を使用しない栽培はもちろんのこと、有機栽培は非常に少なく、大半は、有機的肥料ではない液体化学肥料だけで栽培されています。
※ 土壌消毒とは、畑にビニールシートを被せ、熱湯や熱い蒸気、または薬剤などを流し込んで、土を殺菌消毒することです。
ある農業関係者にヒアリングした話では、『いちご』栽培で使用する資材は、平均的な生産者で化学肥料代が1反※当たり平均20万円/年間、農薬代は平均50万円~/年間で、他の作物と比較して、かなり多いといえます。また、春の作物を冬に栽培するわけですから、ハウス内を暖めるために、年間50~200万円の灯油を使用すると言われています。
※1反とは300坪(約990m2)のこと。
食の安全性、栄養面からいっても、環境に与える負荷を考えても、できればハウス栽培でない旬の『いちご』が主流になってもらいたいものですが、今の日本では、かなり難しいでしょう。全国の子どもたちが、「クリスマスケーキにいちごはいらない」と決心すれば話は別ですが・・・。
となると、せめてできるだけ環境負荷が少なく安全な栽培法が広がって欲しいものですね。

そんな中でも、土壌消毒をまったくせず、農薬も1~2年に一度使う程度で、安全で美味しい『あまおう※』を栽培している石橋さんという生産者がいます。
※“あまおう”は福岡県の登録商標で、全国的に人気の高い高級品種です。玉が大きく、中まで真っ赤で甘い果汁たっぷりなのが特徴です。
石橋さんは10数年前、廃棄処分される牛乳を発酵させた液体肥料を開発しました。この肥料を使い始めてから、土が健康になり病害虫に負けなくなったため、薬がほとんど必要なくなりました。土壌消毒は10数年間一度もしていません。農薬も、スリップスという小さな虫対策のため1年か2年に一度使う程度です。灯油もほとんど使っていません。
石橋さんのあまおうは、安全なだけでなく、玉が大きく味も良いのでとても人気があります。現在、この方法で栽培しているのはこの人だけですが、この肥料が広がって、たくさんの生産者が安全で美味しい『いちご』を作ってくれるといいなあと思います。
※石橋さんの『あまおう』はじんわり村で販売しています。

木本直實(きもと・なおみ)
大手洋酒ビールメーカーに13年勤務。
その間、結婚→阪神大震災→出産→離婚を経験。
2000年、神戸から大分県内にある半農半漁の町に移住。
農家や食品の生産者との交流がはじまる。
2003年、「安全で美味しい食べ物」をテーマにブログを書き始める。
2005年、自然派食品ネットショップ『じんわり村』開設。
日々雑感を「じんわり起業きらくに日記」にて発信中。
趣味は読書(濫読)と株式投資。
原料と作りかたにこだわった安心で美味しい自然派食品
じんわり村:http://www.jinwari.jp/
じんわり起業きらくに日記:http://kirakuni.bakeinu.jp/
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