食と健康

食の生産現場に焦点を当てながら、食育に役立つ情報を提供します。

実りの秋はしいたけから。

2006.11.20

めっきり秋らしくなりましたね。秋の味覚にはいろんな美味しいものがありますが、神戸から大分に移住してきて、生産者からいただいたしいたけを食べ、あまりの美味しさに驚いてからというもの、私は大のしいたけフリークです。(現在、自宅の裏庭でも栽培中)
特に、網で焼いてかぼすをぎゅっと絞ったものは格別で、「上等なステーキ1枚よりこっちの方がいい」と思うほどです。もちろん、生で食べても美味しいし、バターソテーもチーズやマヨネーズを乗せてオーブンで焼いても美味です。
しかも低カロリーで繊維質たっぷり。成分の多くはキチン質です。キチン質はらせん状をしており、私たちの体内にたまった不純物を巻き取るようにして体外に排出してくれると言われています。(数年前ダイエット効果があると話題になった根拠になっていると思われます。)そして、国内でのしいたけ栽培において、化学農薬が使われることは非常に稀で、まさにいいことずくめの食品だと思います。

しいたけの栽培には、原木(ホダ木)栽培と菌床栽培があります。原木栽培は、クヌギなどの原木を1.2メートルほどの長さに切り、ドリルで一定間隔に穴を開けて、菌を含ませた種駒を打ち込むものです。菌床栽培は、おがくずなどで培地を作ったものに種菌を仕込んで栽培します。

しいたけの菌床栽培(新潟県ホームページより引用)

http://www.pref.niigata.jp/chiikishinko/niigata/norin/ring/use/fungi.html

どちらの栽培方法でも美味しいしいたけはありますが、私はどちらかというと原木栽培のしいたけに愛着を感じます。味はもちろんですが、自然の摂理に逆らわない栽培方法、特に害虫退治法が面白いのです。退治方法には、フェロモントラップと生態農薬の二通りのやり方があります。フェロモントラップは文字通りフェロモンで惹き付けて捕まえる仕掛けで、生態農薬とは、薬品ではなく害虫の生態(習性)を利用する方法です。

たとえば、クヌギに寄ってくるカミキリ虫を駆除するときは生態農薬を使います。カミキリ虫は細い枝を好むので、細い枝を山積みにしてカミキリ虫をおびき寄せ、集まってきたところを一網打尽にするのです。人間と虫との知恵比べ、どこかユーモラスで微笑ましいと思いませんか?
しいたけの写真

(大分県竹田市久住町の加藤さんの椎茸栽培の様子/大分県ホームページ旬の道より引用)

http://www.pref.oita.jp/15320/shun/vol.29/p6/index.html

ところで今日は、しいたけが美味しい大分の中でも、ひときわ美味しいしいたけを作り続けている生産者、大分県竹田市久住町の加藤さんのお話をしたいと思います。

現在の当主の加藤さん

私が伺った時は、当時のご当主であったお父様が圃場の中を案内してくださいました。

「しいたけは私が育てるのではありません。しいたけが喜ぶ環境を作ってやれば、しいたけたちは喜んでどんどん生えてきてくれます」とおっしゃる加藤さんのお話を聞きながら、数え切れないほどのホダ木が並べられた場内を歩くと、足下に積もった落ち葉がふわふわとしています。圃場の傍らを流れる小川がさらさらと優しい音色で流れていきます。あちこちに立つ杉の木漏れ日がちろちろと降り注ぎます。そして、少しひんやりと湿気を含んだ空気が顔をなでていきます。俗っぽい表現ですが、森林のマイナスイオンたっぷりというのでしょうか、私たち人間にとっても、なんとも心地よい空間でした。

しかしこれは勝手にそうなったのではなく、自然の地形を活かしながら加藤さんご自身がユンボを駆使して小川の流れを一番良い位置に変え、理想的な木漏れ日が落ちる間隔で杉の木を植えるなどして(植えた後、まっすぐ上に伸びるように手入れするのも大変なのですが)、しいたけにとって居心地の良い空間にするために、計算しつくして作り上げられた結果なのです。

あまりに気持ちが良いので、「ここの空気の流れ方はよそとは違いますね」場内を散策しながらそう申しますと、「あなた、それがわかりますか」加藤さんはにっこりとして、たった今収穫したばかりのしいたけをふたつ、私の手のひらに乗せてくださいました。

加藤さんのお父様
現在の当主の加藤さんいただいたしいたけは、果物のように瑞々しく、歯応えがきゅっと引き締まっていて、かみ締めるとなんだかとてもありがたい感じがしたものです。それ以来、加藤さんは私にとって神様のような存在なのです。


以上


参考までに・・・

キチン質がらせん状であることについて、自分の記憶が正しいかどうか自信がなかったので、こちらのページで確認しました。 http://www.op.titech.ac.jp/polymer/lab/watanabe/StudyHistory-J.htm

木本直實(きもと・なおみ)

木本直實(きもと・なおみ)

大手洋酒ビールメーカーに13年勤務。
その間、結婚→阪神大震災→出産→離婚を経験。
2000年、神戸から大分県内にある半農半漁の町に移住。
農家や食品の生産者との交流がはじまる。
2003年、「安全で美味しい食べ物」をテーマにブログを書き始める。
2005年、自然派食品ネットショップ『じんわり村』開設。
日々雑感を「じんわり起業きらくに日記」にて発信中。
趣味は読書(濫読)と株式投資。

原料と作りかたにこだわった安心で美味しい自然派食品
じんわり村 : http://www.jinwari.jp/
じんわり起業きらくに日記 : http://kirakuni.bakeinu.jp/

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