食と健康

食の生産現場に焦点を当てながら、食育に役立つ情報を提供します。

食の基本は、お米です。

2006.10.20

田園風景、美しいですね。日本固有の宝物といってもいいのではないでしょうか。
10月7日、第12回全国棚田(千枚田)サミットが宮崎県日南市で行われ、「生産者と消費者が手を組み、地産地消や食育に取り組む」などの共同宣言を採択して閉幕しました。
また4日には、全国米穀取引・価格形成センターで、今シーズン6回目の入札が行われました。
魚沼産コシヒカリなど一部の人気銘柄は全て落札されましたが、全体で見ると9割以上が落札されずに売れ残ったそうです。

コシヒカリはもちもちとした食感で人気がありますが、中でも新潟県の魚沼地方で生産されるコシヒカリは、不動のブランド米として突出した高値で取引されています。同じコシヒカリでも、魚沼産だけに買い注文が集中し、全銘柄平均の約2倍の価格で完売する一方、魚沼以外の新潟県産は売れ残ったのです。魚沼地方といえば、新潟県内でも屈指の豪雪地帯。過酷な自然条件を乗り越え、ミネラル豊富な雪解け水をうまく利用して、『魚沼産コシヒカリ』を最上級のブランドにのし上げた関係者の功績には頭が下がる思いがします。

しかしながら、魚沼産のコシヒカリは国内で生産される米の1%にも満たないのです。(だからこそ、希少価値があるということで人気が過熱するのですが・・・)魚沼産以外にも美味しいコシヒカリはありますし、コシヒカリ以外にも美味しい米はあります。 田んぼは1枚1枚がプールのように仕切られているので、隣同士であっても、それぞれが独立した生態系を持っています。日の当たり具合や風の当たり方が異なれば、そこで生息する生き物の種類や数もそれぞれ違うのです。土壌も違うし、持ち主が変われば栽培管理も違いますから、同じコシヒカリであっても味や栄養にはバラつきがあります。魚沼産だけが他の地域より絶対的に美味しいとは限りません。米の味や栄養価は、どんな土壌でどんな栽培をするかで決まります。きちんと作れば味も栄養面も良い米ができるのに、こんなにも人気(価格)に差があるのはなぜなのでしょうか?


皮肉なことですが、これは国産の「米」全般に対する消費者の信頼の低さの裏返しではないかと私は思っています。日本の米の自給率はほぼ100%ですが、9割以上の生産者が兼業農家です。つまり、米の大半はアマチュアやセミプロによって作られているのです。

この10年間で、日本の米を取り巻く環境は激変しました。消費が減り、同時に価格も下がり続けました。価格を維持するために減反政策がとられますが、それでも生産調整が追いつかないのが現状です。





農薬を使わずに栽培している米農家さん


ご存知のとおり減反政策は補助金とセットです。極端な言い方をすれば、米農家が米を作るのを止めれば政府から補助金がもらえるという摩訶不思議な制度なのです。
もちろん、そんな矛盾を抱えたままいつまでも続けられるはずもなく、今では政府が買い上げるのは備蓄米程度で、多くは自由に流通するようになりました。昔はどんな米を作っても同じ値段でしたが、今は、付加価値の高い米を作り、自分で高く売ることができるようになったのです。
当時から先を見越して切磋琢磨した生産者は付加価値の高い米を生産して、自分で直接消費者や業者と取引するようになりました。その一方で、品質や付加価値向上などの対策をしなかった生産者は、差別化ができずに相場に左右されるしかなくなりました。
一人でも多くの米農家に、永続できる農業で“安全で美味しい米”を作ってもらいたいものですね。


図表:米の週手法法の推移

社団法人 米穀安定供給確保支援機構『米ネット』より引用
http://www.komenet.jp/
http://www.komenet.jp/komedata/shouhi/2004/data7.html


木本直實(きもと・なおみ)

木本直實(きもと・なおみ)

大手洋酒ビールメーカーに13年勤務。
その間、結婚→阪神大震災→出産→離婚を経験。
2000年、神戸から大分県内にある半農半漁の町に移住。
農家や食品の生産者との交流がはじまる。
2003年、「安全で美味しい食べ物」をテーマにブログを書き始める。
2005年、自然派食品ネットショップ『じんわり村』開設。
日々雑感を「じんわり起業きらくに日記」にて発信中。
趣味は読書(濫読)と株式投資。

原料と作りかたにこだわった安心で美味しい自然派食品
じんわり村 : http://www.jinwari.jp/
じんわり起業きらくに日記 : http://kirakuni.bakeinu.jp/

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