こんにちは。金曜日担当のSBIアーキクオリティです。
前回2月9日に続き、住宅性能表示制度の2回目のお話です。
●●● A邸とB邸 ●●●
今、A邸とB邸があると仮定します。
A邸は都心の住宅地にあり、個性的な外観と造りがオーナーA氏の自慢です。
また、周囲には公共施設や公園等も整い便利です。
B邸は郊外の開発地で、周囲には似通った住宅以外はありません。何をするに
も車が必要ですが、このオーナーB氏は遠くに見える太平洋が気に入っています。
このA邸とB邸、住宅性能表示制度では全く同等の評価を受けることが可能で
す。環境も値段も異なる二つの住宅が同等です。もう一度、同等です。なぜ??
あるいは、一般的に資産的価値の低いと思われるB邸が、A邸を上回る評価を
受けることもできるのです。 B邸が上なのです。 理不尽ですね…
でも、”箱(または器)の性能についての工学的な点数付け”というこの制度の
仕組みからは上記のような逆転現象は往々にしてあり得ることなのです…。
●●● 箱(または器)の点数付け… ●●●
では、この制度について少し、解説させていただきます。
まず、対象は住宅ですから、事務所ビルや商業施設は門前払いです。どんなに
立派で未来的であろうと、一等地であろうと、この制度の土俵には上がれません。
下階が店舗等で上階が住宅(住戸)の複合建築物の場合は、住宅に対してのみ点
数付けの結果としての『評価書』が発行されます。
次に、住宅と言ってもその立地条件・周辺環境・外観・質感・色などは基本的
に点数付けの対象外です。
どの住宅も土地に定着し、地名地番を持ち、様々な材料や構えで造られ、隣の
建物・空地・畑・雑木林・道路・…・そしてその住人等々があって初めて住宅と
して成り立つのですが、これら要素のほとんどは、住宅性能表示制度に無関係と
いうことです。
すると残るのは、住宅と言っても実は箱(または器)としての物体です。
この物体の持つ性能が、ある基準に対してどうなのか? ということが設計者
によって点数付けされ、第三者評価を経て点数が確定されることになります。
それも工学的に、というか主観の入るものはすべて排除され、言い換えれば、
ドライに判断されるということです。
だから、B邸の物体としての性能がA邸に勝っていれば、この制度上ではB邸
に高い点数が付くこともあり得る訳です。
オーナーA氏がどれほど自邸を誇りに思っていても、B氏がどれだけ眺望を愛
でたとしても、評価上は一切、無関係です。
経済的/財産的価値などと別次元の点数付け…、悲しい仕組みですか?
●●● もっと深い意味が… ●●●
前回でご紹介したとおり、この制度は今世紀になって実用化されたものです。
まだ数年程度の実績ですし、利用しなくても何の”お咎め”もありません。
しかも現時点では、主に”箱(または器)の点数付け”するだけの制度です。
と書くと、『じゃ、評価付の住宅なんて要らないよね…』となりかねません。
確かに、評価の対象が限られ主観的な事項には点数が付きませんし、あるいは
対象それが消費者ニーズと必ずしも合致していない点もあるでしょう。
でも、実はこの制度(というより考え方ですが…)にはもっと深い意味があると
思えるのです。
それは、仕様による決め事から性能による評価付けに流れが変わり始めた、と
いうことなのです。 あれはダメ、ここはこうして…等々の小うるさい仕様の縛
りから、(自己責任で)性能を満たしていれば仕様は不問、という方向に少しづつ
ですが変化している状況下で、この制度が生まれた点です。
この文脈の中に住宅性能表示制度がある訳で、性能を満たしていることを第三
者が証明/保証する仕組みは、例えば、ここ10年間程度でかなり世間に広まった
ISOマネジメントシステムなどにも通じるものです。
性能による評価で、いいものを作る ⇒ 客観的点数付け ⇒ 価値の向上 とい
うサイクルが今後確立して行けば、この考え方はもっと利用されてよいものです。
仕様さえ満たせば安かろう悪かろうの世界から、(自己責任で)性能や品質を求
めて行く”大人の世界に入りかけた”点は、評価に値するものと思われます。
長くなりましたが、個人的には住宅性能表示制度という”考え方”に賛成です。
でも、評価対象などの”内容”についてはまだまだこれから…という面があり
(遺憾ではありますが、お約束の?『総論賛成各論ナントカ』ってヤツ ですね)、
制度に携わる者として微力ながらその普及に努めて行きたいと思います(偉いっ!!)
旧暦12月29日・SBIAQ ・S.Yamana
<お知らせ> 次回も、別の切り口からの”住宅性能表示制度”です。